1.東京都条例の概要
インターネットの匿名性を悪用した犯罪が増える中で、2009年、警視庁は有識者懇談会を設置して都民が安心して複合カフェ店舗を利用出来るようにするための対策を協議しました。これを受けて、利用客の本人確認義務などを定めた全国初の規制条例案を作成、2010年2月22日に内容が明らかにされました。条例案は2月に都議会に提出され、同7月1日から施行ました。条例案には罰則規定があり、違反した場合は営業停止となる場合があります。
・ 営業の届け出が必要になります
公安委員会に店舗名および所在地等、規則に定める事項を届出なくてはなりません。
・ 本人確認および確認記録作成の義務が生じます
公安委員会規則が定める方法により公的機関が発行した身分証明書等での本人確認が必要になります。そのうえで、本人確認の記録および、使用PCの特定に関する記録を作成し、3年間保存しなければなりません。
※条例の概要は 東京都HPを参照ください。
2.ネットカフェの匿名性排除を求める声が背景に
今回の東京都条例改正の背景には、複合カフェ店舗で架空の出品によるネットオークション詐欺や、キーロガー等のスパイウェアによってパスワードや個人情報が不正入手されるケースなどインターネットに係る犯罪が発生した場合、利用者の匿名性により未検挙の割合が著しく高くなることから、平成18年度の警察庁「総合セキュリティ対策会議」報告書の中で、複合カフェ店舗における匿名性の排除を強く求めたことが発端です。
また、インターネット上での自殺予告についても、プロバイダ等から発信者情報の開示を受け措置を講じていますが、本人確認が行われていない複合カフェ店舗のコンピュータを使用した場合は、発信者情報から自殺予告者を特定することが困難であり、人命保護に支障を起こす恐れがあるとして社会問題となっています。
3.「安心・安全なネットカフェ」は会員制から
加えてオンラインゲームを楽しむユーザーからは、アカウントハッキング(ユーザーIDやパスワードを第三者に悪用されること)によって、ゲーム内のキャラクターが所持するアイテム(ゲーム内の武器や通貨)が盗まれ、ネット上で売買されるといった被害を被ったとし、『(すべての)複合カフェ店舗は危ない!』との認識が広がっています。
そこでJCCAは、「会員制こそがサイバー犯罪を防止し、利用者に安全を保証する有効な手段」と考え、平成20年に協会のガイドライン改正で会員制の導入を強く求め、『安心・安全な会員制複合カフェ啓発キャンペーン』を街頭や店内で実施しました。
4.これからのネットカフェは
このように、東京都条例制定の流れや会員制がユーザーに安心や安全を提供できることが明白であることから、複合カフェ店舗は『会員制』を基本とした新たな経営基盤の確立が求められています。
JCCAはいち早く、会員制に特化した新たなビジネスを構築すべく、分科会を開催し精力的に活動してきました。
これからの複合カフェ店舗が目指す方向は、会員制によって「顔の見えるお客様」に良質なコンテンツ・サービスを必要に応じた課金システムによって提供する、アップグレードなデジタルネットカフェであり、コンテンツホルダーやネット運営会社はそのような複合カフェ店舗に新たな市場を見て、間違いなく注目することでしょう。
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